コンパクトで軽量なSGM-9は、簡単設置、簡単操作により従来では難しかった高所での作業が容易となりました。また、複数の煙道ガス測定が求められる現場においても、大がかりな設備や設置場所を必要とせず、SGM-9を1セット用意するだけで測定が可能です。
溶液吸収法とは異なり、現場でリアルタイムの測定結果が得られます。
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還元気化法
SGM-9は『携帯型水銀連続測定装置:EMP-3』と『ガス中水銀前処理装置:WLE-9』を組み合わせ、軽量かつコンパクトなその高い機動性により、従来では難しかった高所での煙道排ガス測定作業負荷を劇的に軽減しました。
EMP-3内蔵のエアーポンプで、煙道排ガスを煙道から加熱導管を通してガス中水銀前処理装置 (WLE-9) へ誘導します。
WLE-9での前処理として1本目の洗気瓶にてサンプルガス中のHg2+を10%塩化スズ (Ⅱ) 溶液でHg0に還元し、2本目の洗気瓶の1mol/L KOH溶液で酸性ガス (SO2, NOX, HClなどの干渉ガス) の除去を行います。
次いで3本目の電子冷却された洗気瓶でガス中の水分を凝縮させ除去します。
その後EMP-3の吸収セルにガスを取り込み、253.7nmの吸光度から原子吸光法により排ガス中の総水銀濃度を測定します。
測定範囲は0.1~2,000μg/Nm3と広く、応答時間もわずか1秒です。
測定データは内蔵メモリーにCSV形式で保存され、USBメモリーでデータを出力することでデータ解析も容易に行えます。
また、各試薬や水分の排出, 交換はすべて自動で行われます。
SGM-9を2セット組み合わせることにより、リアルタイムで金属水銀とガス状総水銀の形態別分別測定が容易に実現できる拡張性を実現しました。
1セット目 (SGM-9T) のガス中水銀前処理装置 (WLE-9) ではサンプルガスを10%塩化スズ (Ⅱ) 溶液に通気して、酸化態水銀を金属水銀に還元させ、排ガス中のガス状総水銀を測定します。
また2セット目 (SGM-9E) のWLE-9にはKCl溶液を入れることによりガス状金属水銀のみを測定できます。
従ってこのシステムを用いて2セット併行で測定することにより、形態別水銀分別測定が可能となります。
測定原理 | 非分散ダブルビーム冷原子吸光法 | |
測定時流量 | 0.1~1L/min | |
測定範囲 | 0~2,000μg/Nm3 (分解能 STATIC:0.1μg/Nm3) | |
測定精度 | RSD 3% (2μg/Nm3以上) | |
排気水銀処理 | 水銀専用活性炭 | |
補正機能 | 自動ZERO補正:ベースライン補正機能 (妨害成分の影響を除去) | |
ノルマル換算:温度および圧力の影響を受けないよう測定結果をノルマル換算値で表示 | ||
制御・データ処理 | 表示 | 瞬時値、平均値、最大値、トレンドグラフ (タイムスケール任意)、レベルゲージ (警報設定値連動) |
データ記録 | CSVファイル、内部メモリー保存 (2万時間程度) | |
データ出力 | USBメモリー | |
寸法, 重量 | 幅207 × 高さ140 × 奥行き115 (mm), 1.6kg | |
電源電圧 | WLE-9から供給 |
試薬分注 | 試薬注入ポンプ2個、試薬循環ポンプ1個、排出ポンプ3個 |
寸法, 重量 | 幅340 × 高さ380 × 奥行き190 (mm) (EMP-3を上部に接続) 突起部を除く 6.0kg (EMP-3を含む、試薬ボトル除く) |
電源電圧 | AC100~240V, 50/60Hz, ACアダプタ使用 (EMP-3含む) |