水銀は常温で液体である唯一の金属元素で、揮散しやすい性質を持ちます。
そのため、様々な排出源から排出された水銀は、地球上を循環します。
その滞留時間は1~2年と言われています。
その後、分解されることなく環境中に蓄積します。
川や海水中に含まれる無機水銀が、環境中の微生物によりメチル水銀に変化すると、食物連鎖を通じて魚介類に取り込まれます。
水銀及びメチル水銀等は中枢神経系及び末梢神経系に対し有毒であり、人の健康に有害な影響を及ぼす恐れがあります。
人の健康及び環境を保護することを目的に、「水銀に関する水俣条約」が制定されました。
水俣条約は、水銀の供給、使用、排出、廃棄等の各段階で、総合的な対策を世界的に取り組むことにより、地球規模の水銀汚染を防止することを目指しています。
日本では、大気、水質、土壌等の媒体ごとに基準値や指針値が定められています。
大気に関しては、水銀及びその化合物が優先取組物質に指定され、総水銀濃度が0.00004mg/m3(40ng/m3)以下が指針値となっています。
水質に関しては、公共用水域と地下水についての環境基準が0.0005mg/L(0.5µg/L)以下とされています。
土壌環境基準では、検液中に0.0005 mg/L(0.5µg/L)以下と定められています。
参考
「水銀による環境の汚染の防止に関する法律~水銀対策のさらなる推進に向けて~」環境省(http://www.env.go.jp/chemi/tmms/suigin_leaflet_law.pdf)を基に作成
「水銀に関する国内外の状況について」水銀に関する水俣条約の国内対応検討委員会(https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/seizo_sangyo/kagaku_busshitsu/seido_wg/pdf/001_s03_00.pdf)を基に作成
「「水銀に関する水俣条約」の概要」環境省(http://www.env.go.jp/chemi/tmms/convention/treaty_outline.pdf)を基に作成